った、私に聞かして気の毒と異《おつ》に遠慮をしたものか、あまりといえば狭隘《けち》な根性、よしや仔細を聴いたとてまさか私が狼狽《うろた》えまわり動転するようなことはせぬに、女と軽《かろ》しめて何事も知らせずにおき隠し立てしておく良人《うちのひと》の了簡はともかくも、汝たちまで私を聾《つんぼ》に盲目《めくら》にして済まして居るとはあまりな仕打ち、また親方の腹の中がみすみす知れていながらに平気の平左で酒に浮かれ、女郎買いの供するばかりが男の能でもあるまいに、長閑気《のんき》でこうして遊びに来るとは、清吉|汝《おまえ》もおめでたいの、平生《いつも》は不在《るす》でも飲ませるところだが今日は私は関《かま》えない、海苔《のり》一枚焼いてやるも厭ならくだらぬ世間咄《せけんばな》しの相手するも虫が嫌う、飲みたくば勝手に台所へ行って呑《の》み口ひねりや、談話《はなし》がしたくば猫《ねこ》でも相手にするがよい、と何も知らぬ清吉、道益が帰りし跡へ偶然《ふと》行き合わせてさんざんにお吉が不機嫌を浴びせかけられ、わけもわからず驚きあきれて、へどもどなしつつだんだんと様子を問えば、自己《おのれ》も知らずに今の今
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