その日を送りくさるか、あまりに性質《ひと》のよ過ぎたる良人も良人なら面憎きのっそりめもまたのっそりめと、折にふれては八重縦横に癇癪《かんしゃく》の虫|跳《は》ね廻らし、自己《おの》が小鬢《こびん》の後れ毛上げても、ええ焦《じ》れったいと罪のなき髪を掻《か》きむしり、一文|貰《もら》いに乞食が来ても甲張り声に酷《むご》く謝絶《ことわ》りなどしけるが、ある日源太が不在《るす》のところへ心易き医者|道益《どうえき》という饒舌《おしゃべり》坊主遊びに来たりて、四方八方《よもやま》の話の末、ある人に連れられてこのあいだ蓬莱屋へまいりましたが、お伝という女からききました一分始終、いやどうも此方《こち》の棟梁は違ったもの、えらいもの、男児《おとこ》はそうありたいと感服いたしました、とお世辞半分何の気なしに云い出でし詞《ことば》を、手繰《たぐ》ってその夜の仔細《しさい》をきけば、知らずにいてさえ口惜しきに知っては重々憎き十兵衛、お吉いよいよ腹を立ちぬ。

     其二十四

 清吉|汝《そなた》は腑甲斐《ふがい》ない、意地も察しもない男、なぜ私には打ち明けてこないだの夜の始末をば今まで話してくれなか
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