もん》等北斗の七星を祭りて願う永久安護、順に柱の仮轄《かりくさび》を三ッずつ打って脇司《わきつかさ》に打ち緊《し》めさする十兵衛は、幾干《いくそ》の苦心もここまで運べば垢穢《きたなき》顔《かお》にも光の出るほど喜悦《よろこび》に気の勇み立ち、動きなき下津盤根《しもついわね》の太柱と式にて唱うる古歌さえも、何とはなしにつくづく嬉しく、身を立つる世のためしぞとその下の句を吟ずるにも莞爾《にこにこ》しつつ二たびし、壇に向うて礼拝|恭《つつし》み、拍手《かしわで》の音清く響かし一切成就の祓《はらい》を終るここの光景《さま》には引きかえて、源太が家の物淋《ものさび》しさ。
主人《あるじ》は男の心強く思いを外には現わさねど、お吉は何ほどさばけたりとてさすが女の胸小さく、出入るものに感応寺の塔の地曳きの今日済みたり柱立式昨日済みしと聞くたびごとに忌々《いまいま》しく、嫉妬の火炎《ほむら》衝《つ》き上がりて、汝《おのれ》十兵衛恩知らずめ、良人《うち》の心の広いのをよいことにしてつけ上り、うまうま名を揚げ身を立つるか、よし名の揚《あが》り身の立たばさしずめ礼にも来べきはずを、知らぬ顔して鼻高々とその日
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