らわし、なおもやさしき語気|円暢《なだらか》に、こう打ち解けてしもうた上は互いにまずいこともなく、上人様の思召《おぼしめ》しにもかない我たちの一分《いちぶん》も皆立つというもの、ああなんにせよ好い心持、十兵衛汝も過してくれ、我も充分今日こそ酔おう、と云いつつ立って違い棚《だな》に載せて置いたる風呂敷包みとりおろし、結び目といて二束《ふたつかね》にせし書類《かきもの》いだし、十兵衛が前に置き、我にあっては要なき此品《これ》の、一ツは面倒な材木《きしな》の委細《くわ》しい当りを調べたのやら、人足|軽子《かるこ》そのほかさまざまの入目を幾晩かかかってようやく調べあげた積り書、また一ツはあすこをどうしてここをこうしてと工夫に工夫した下絵図、腰屋根の地割りだけなもあり、平地《ひらじ》割りだけなのもあり、初重の仕形だけのもあり、二手先または三手先、出し組ばかりなるもあり、雲形波形|唐草《からくさ》生類《しょうるい》彫物のみを書きしもあり、何よりかより面倒なる真柱から内法《うちのり》長押《なげし》腰長押切目長押に半長押、縁板《えんいた》縁かつら亀腹柱高欄|垂木《たるき》桝《ます》肘木《ひじき》、貫《
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