ぬき》やら角木《すみぎ》の割合算法、墨縄《すみ》の引きよう規尺《かね》の取りよう余さず洩《も》らさず記せしもあり、中には我のせしならで家に秘めたる先祖の遺品《かたみ》、外へは出せぬ絵図もあり、京都《きょう》やら奈良の堂塔を写しとりたるものもあり、これらはみんな汝《きさま》に預くる、見たらば何かの足しにもなろ、と自己《おの》が精神《こころ》を籠《こ》めたるものを惜しげもなしに譲りあたうる、胸の広さの頼もしきを解《げ》せぬというにはあらざれど、のっそりもまた一[#(ト)]気性、他《ひと》の巾着《きんちゃく》でわが口|濡《ぬ》らすようなことは好まず、親方まことにありがとうはござりまするが、御親切は頂戴《いただ》いたも同然、これはそちらにお納めを、と心はさほどになけれども言葉に膠《にべ》のなさ過ぎる返辞をすれば、源太大きに悦ばず。此品《これ》をば汝は要《い》らぬと云うのか、と慍《いか》りを底に匿《かく》して問うに、のっそりそうとは気もつかねば、別段拝借いたしても、と一句うっかり答うる途端、鋭き気性の源太は堪《たま》らず、親切の上親切を尽してわが知恵思案を凝らせし絵図までやらんというものを、むげ
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