老人《としより》さえ、真底|我《が》折《お》って噂し合えば、まして天変地異をおもしろずくで談話《はなし》の種子《たね》にするようの剽軽《ひょうきん》な若い人は分別もなく、後腹の疾《や》まぬを幸い、どこの火の見が壊れたりかしこの二階が吹き飛ばされたりと、他《ひと》の憂い災難をわが茶受けとし、醜態《ざま》を見よ馬鹿欲から芝居の金主して何某《なにがし》め痛い目に逢うたるなるべし、さても笑止あの小屋の潰《つぶ》れ方はよ、また日ごろより小面憎かりし横町の生花の宗匠が二階、お神楽《かぐら》だけのことはありしも気味《きび》よし、それよりは江戸で一二といわるる大寺の脆く倒れたも仔細こそあれ、実は檀徒《だんと》から多分の寄附金集めながら役僧の私曲《わたくし》、受負師の手品、そこにはそこのありし由、察するに本堂のあの太い柱も桶《おけ》でがなあったろうなんどとさまざまの沙汰に及びけるが、いずれも感応寺生雲塔の釘一本ゆるまず板一枚|剥《は》がれざりしには舌を巻きて讃歎し、いや彼塔《あれ》を作った十兵衛というはなんとえらいものではござらぬか、あの塔倒れたら生きてはいぬ覚悟であったそうな、すでのことに鑿《のみ》啣
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