ん手放すを、と何やらかやらありたけ出して婢《おんな》に包ませ、夫の帰らぬそのうちと櫛笄《くしこうがい》も手ばしこく小箱に纏《まと》めて、さてそれを無残や余所《よそ》の蔵《くら》に籠《こも》らせ、幾らかの金|懐中《ふところ》に浅黄の頭巾|小提灯《こぢょうちん》、闇夜《やみよ》も恐れず鋭次が家に。

     其二十七

 池の端の行き違いより翻然《からり》と変りし源太が腹の底、初めは可愛《かわゆ》う思いしも今は小癪《こしゃく》に障《さわ》ってならぬその十兵衛に、頭《かしら》を下げ両手をついて謝罪《あやま》らねばならぬ忌々《いまいま》しさ。さりとて打ち捨ておかば清吉の乱暴も我《わ》が命令《いいつ》けてさせしかのよう疑がわれて、何も知らぬ身に心地|快《よ》からぬ濡衣《ぬれぎぬ》被《き》せられんことの口惜しく、たださえおもしろからぬこのごろよけいな魔がさして下らぬ心労《こころづか》いを、馬鹿馬鹿しき清吉めが挙動《ふるまい》のためにせねばならぬ苦々しさにますます心|平穏《おだやか》ならねど、処弁《さば》く道の処弁《さば》かで済むべきわけもなければ、これも皆自然に湧きしこと、なんとも是非なしと諦め
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