に随《したが》って来た蒲生源左衛門、蒲生忠左衛門、蒲生四郎兵衛、町野左近将監、新参ではあるが名うての荒武者佐久間玄蕃が弟と聞えた佐久間久右衛門、同苗《どうみょう》舎弟《しゃてい》源六、綿利《わたり》八右衛門など一人当千の勇士の面々、火の中にもあれ水の中にもあれ、死出|三途《さんず》主従一緒と思詰めたる者共が堪《たま》り兼ねてツツと躍り出た。伊達の家来は此《こ》は狼籍《ろうぜき》に近き振舞と支え立てせんとした。制して制さるる男共であればこそ、右と左へ伊達の家来を押退け押飛ばして、楯《たて》に取る門の扉をもメリメリと押破った。氏郷の相伴つかまつって苦しい者ではござらぬ、蒲生源左衛門|罷《まか》り通る、蒲生忠右衛門罷り通る、町野左近将監罷り通る、罷り通る、罷り通る、と陣鐘《じんがね》のような声もあれば陣太鼓のような声も有る、陣法螺《じんぼら》吹立てるような声も有って、間《あわい》隔たったる味方の軍勢の耳にも響けかしに勢い猛《たけ》く挨拶して押通った。茶の道に押掛の客というも有るが、これが真個《ほんと》の押掛けで、もとより大鎧|罩手《こて》臑当《すねあて》の出で立ちの、射向けの袖《そで》に風を
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