《や》せた頤《おとがい》を乗せて、平たく蹲《うずくま》った病人らしい陰気な男が、釣込まれたやら、
「ふふふ、」
と寂《さみ》しく笑う。
続いたのが、例の高張《たかはり》を揚げた威勢の可《い》い、水菓子屋、向顱巻《むこうはちまち》の結び目を、山から飛んで来た、と押立《おった》てたのが、仰向けに反《そり》を打って、呵々《からから》と笑出す。次へ、それから、引続いて――一品料理の天幕張《テントばり》の中などは、居合わせた、客交じりに、わはわはと笑《わらい》を揺《ゆす》る。年内の御重宝《ごちょうほう》九星売が、恵方《えほう》の方へ突伏《つっぷ》して、けたけたと堪《たま》らなそうに噴飯《ふきだ》したれば、苦虫と呼ばれた歯磨屋《はみがきや》が、うンふンと鼻で笑う。声が一所で、同音に、もぐらもちが昇天しようと、水道の鉄管を躍り抜けそうな響きで、片側|一条《ひとすじ》、夜が鳴って、哄《どっ》と云う。時ならぬに、木《こ》の葉が散って、霧の海に不知火《しらぬい》と見える灯《ともしび》の間を白く飛ぶ。
なごりに煎豆屋《いりまめや》が、かッと笑う、と遠くで凄《すさ》まじく犬が吠《ほ》えた。
軒の辺《あ
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