と思ったらしい、花売《はなうり》は軽《かろ》く見返り、
「貴方《あなた》、もう些《ちっ》とでございますよ。」
「どうぞ。」といった高坂は今更ながら言葉さえ謹《つつし》んで、
「美女ヶ原に今もその花がありましょうか。」
「どうも身に染《し》むお話。どうぞ早く後《あと》をお聞《きか》せなさいまし、そしてその時、その花はござんしたか。」
「花は全くあったんですが、何時《いつ》もそうやって美女ヶ原へお出《いで》の事だから、御存じはないでしょうか。」
「参りましたら、その姉《ねえ》さんがなすったように、一所《いっしょ》にお探し申しましょう。」
「それでも私は月の出るのを待ちますつもり。その花籠《はなかご》にさえ一杯になったら、貴女《あなた》は日一杯に帰るでしょう。」
「否《いいえ》、いつも一人で往復《ゆきかえり》します時は、馴れて何とも思いませんでございましたけれども、※[#「(來+攵)/心」、第4水準2−12−72]《なま》じお連《つれ》が出来て見ますと、もう寂《さび》しくって一人では帰られませんから、御一所《ごいっしょ》にお帰りまでお待ち申しましょう。その代《かわり》どうぞ花籠の方はお手伝い
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