ツを鎧《よろ》へる手《て》に、高々《たか/″\》と抱《いだ》いて、大童《おほわらは》。それ鼬《いたち》の道《みち》を切《き》る時《とき》押《お》して進《すゝ》めば禍《わざはひ》あり、山《やま》に櫛《くし》の落《お》ちたる時《とき》、之《これ》を避《さ》けざれば身《み》を損《そこな》ふ。兩頭《りやうとう》の蛇《へび》を見《み》たるものは死《し》し、路《みち》に小兒《こども》を抱《だ》いた亭主《ていしゆ》を見《み》れば、壽《ことぶき》長《なが》からずとしてある也《なり》。ああ情《なさけ》ない目《め》を見《み》せられる、鶴龜々々《つるかめ/\》と北八《きたはち》と共《とも》に寒《さむ》くなる。人《ひと》の難儀《なんぎ》も構《かま》はばこそ、瓢箪棚《へうたんだな》の下《した》に陣取《ぢんど》りて、坊《ばう》やは何處《どこ》だ、母《かあ》ちやんには、見《み》えないよう、あばよといへ、ほら此處《こゝ》だ、ほらほらはゝはゝゝおほゝゝと高笑《たかわらひ》。弓矢八幡《ゆみやはちまん》もう堪《たま》らぬ。よい/\の、犬《いぬ》の、婆《ばゞ》の、金時計《きんどけい》の、淺葱《あさぎ》の褌《ふんどし》の、其上
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