すすられるのみであったが、厭なものは厭だ、と城を枕に討死をする態度で、少々|自棄《やけ》気味の、酒井先生へ紹介は断然、お断り。
そこを一つお考え直されて、と言《ことば》を残して帰った後で、アバ大人が媒妁《なこうど》ではなおの事。とお妙の顔が蒼《あお》くなって殺されでもするように、酒も飲まないで屈託をする、とお蔦はお蔦で、かくまってあった姫君を、鐘を合図に首討って渡せ、と懸合われたほどの驚き加減。可愛い夫が可惜《いとおし》がる大切なお主《しゅう》の娘、ならば身替りにも、と云う逆上《のぼ》せ方。すべてが浄瑠璃の三の切《きり》を手本だが、憎くはない。
さあ、貴郎、そうしていらっしゃる処ではありません、早く真砂町へおいでなすって、先生が何なら奥様《おくさん》まで、あんな許《とこ》へは御相談なさいませんように、お頼みなさらなくッちゃ不可《いけ》ません。ちょいと、羽織を着換えて、と箪笥《たんす》をがたりと引いて、アア、しばらく御無沙汰なすった、明日《あした》め[#「め」に傍点]組が参りますから、何ぞお土産をお持ちなさいまし、先生はさっぱりしたものがお好きだ、と云うし、彼奴《あいつ》が片思いにな
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