の、私ねえ、いろいろ沢山話があるわ。入院していらっしゃる、と云うから、どんなに悪いんだろうと思ったら、起きていられるのね。それだのに、まあ……お蔦さん……私……貴下に叱言《こごと》を言うこともあるけれど、大事な用があるから、それを済ましてから緩《ゆっく》りしましょうね。」
と甘えるように直ぐ変って、さも親しげに、
「小刀《ナイフ》はあって?」
余り唐突《だしぬけ》な問だったから、口も利けないで……また目を※[#「目+爭」、第3水準1−88−85]《みは》る。
「では、さあ、私の元結《もとゆい》を切って頂戴。」
「元結《もとゆい》を? お嬢さんの。」
「ええ、私の髪の、」
と、主税が後へずらないとその膝に乗ったろう、色気も無く、寝台《ねだい》の端に、後向きに薄いお太鼓の腰をかけると、緋鹿子がまた燃える。そのままお妙は俯向《うつむ》いて、玉のごとき頸《うなじ》を差伸べ、
「お切んなさいよ、さあ、早くよ。父上《とうさん》も知っていてよ、可《い》いんだわ。」
と美しく流眄《ながしめ》に見返った時、危なく手がふるえていた。小刀の尖《さき》が、夢のごとく、元結を弾《はじ》くと、ゆらゆらと下
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