が動いたと思うと、睫毛《まつげ》が濃くなって、ほろりとして、振返ると、まだそこに、看護婦が立っているので、慌てて袂《たもと》を取って、揉込《もみこ》むように顔を隠すと、美しい眉のはずれから、振《ふり》が飜《ひるがえ》って、朱鷺《とき》色の絽《ろ》の長襦袢の袖が落ちる。
「今そんな事を聞いちゃ、厭《いや》!」
 と突慳貪《つっけんどん》なように云った。勿《な》、問いそそこに人あるに、涙|得《え》堪えず、と言うのである。
 看護婦は心得て、
「では、あの、お言託《ことづけ》は。」
「ちと後にして頂きましょう。お嬢さん、そして、お伴をしました、め[#「め」に傍点]組の奴は?」
「停車場《ステイション》で荷物を取って来るの。半日なら大丈夫だって、氷につけてね、貴下《あなた》の好《すき》なお魚を持って来たのよ。病院なら直《じ》き分ります、早くいらっしゃいッて、車をそう云って、あの、私も早く来たかったから、先へ来たわ。皆《みんな》、そうやって思ってるのに、貴下《あなた》は酷《ひど》いわ。手紙も寄越さないんですもの。お蔦さん……」
 とまた声が曇って、黙って差俯向《さしうつむ》いた主税を見て、
「あ
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