かさん》で、そのお手紙が一通ありゃ、貞造は一生涯朝から刺身で飲めるんですぜ。
またちっとでも強情《ねだ》りがましい了見があったり、一銭たりとも御心配を掛《かけ》るような考《かんがえ》があるんなら、私は誓って口は利かんのです。
そうじゃない! ただ一目拝みたいと云う、それさえ我慢をし抜いた、それもです……老人自分じゃ、まだ治らないとは思っていなかったからなので。煎じて飲むのがまだるッこし、薬鍋の世話をするものも無いから、薬だと云う芭蕉の葉を、青いまんまで噛《かじ》ったと言います――
その元気だから、どうかこうか薬が利いて、一度なんざ、私と一所に安倍川へ行って餅を食べて茶を喫《の》んで帰った事もあったんですが、それがいいめ[#「いいめ」に傍点]を見せたんで、先頃からまたどッと褥《とこ》に着いて、今は断念《あきら》めた処から、貴女を見たい、一目逢いたいと、現《うつつ》に言うようになったんです。
容態が容態ですから、どうぞ息のある内にと心配をしていたんですが、人に相談の出来る事じゃなし、御宅へ参ってお話をしようにも、こりゃ貴女と対向《さしむか》いでなくっては出来ますまい。
失礼だけれ
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