いた処で、女房を持ったんですがね。いや、罰《ばち》は覿面《てきめん》だ。境内へ多時《しばらく》かかっていた、見世物師と密通《くッつ》いて、有金を攫《さら》って遁《に》げたんです。しかも貴女、女房が孕《はら》んでいたと云うじゃありませんか。」
「まあ、」
と、夫人は我知らず嘆息した。
「忌々しい、とそこで大弓の株を売って、今度は安東村の空地を安く借りて、馬場を拵《こさ》えて、貸馬を行《や》ったんですな。
貴女、それこそ乳母《おんば》日傘で、お浅間へ参詣にいらしった帰り途、円い竹の埒《らち》に掴《つかま》って、御覧なすった事もありましょう。道々お摘みなすった鼓草《たんぽぽ》なんぞ、馬に投げてやったりなさいましたのを、貞造が知っています。
阿母《おふくろ》が死んだあとで、段々馬場も寂れて、一斉《いっとき》に二|頭《ひき》斃死《おち》た馬を売って、自暴《やけ》酒を飲んだのが、もう飲仕舞で。米も買えなくなる、粥《かゆ》も薄くなる。やっと馬小屋へ根太を打附《ぶッつ》けたので雨露を凌《しの》いで、今もそこに居るんですが、馬場のあとは紺屋の物干になったんです。……」
三十四
「
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