ていらっしゃいなね。そんなにして、私は困るわ。」
「はじめまして、」
 と余り白くて、血の通るのは覚束《おぼつか》ない頸《うなじ》を下げて、手を支《つ》きつつ、
「失礼でございますから、」
「よう、私困るのよ。寝ていて下さらなくっては。小母さん、そう云って下さいな。」
 と気を揉んで、我を忘れて、小芳の背中をとんとんと叩いて、取次げ、と急《あせ》って云う。
 その優しさが身に浸みたか、お蔦の手をしっかり握った、小芳の指も震えつつ、
「お蔦さん、可いから寝ておいでな、お嬢さんがあんなに云って下さるからさ。」
「いいえ、そんなじゃありません。切なければ直《じ》きに寝ますよ。お嬢さん、難有《ありがと》う存じます。貴嬢《あなた》、よくおいで下さいましたのね。」
「そして、よく家《うち》が知れましたわね。この辺へは、滅多においでなさいましたことはござんせんでしょうにねえ。」
 小芳はまた今更感心したように熟々《つくづく》云った。
「はあ、分らなくってね。私、方々で聞いて極《きま》りが悪かったわ。探すのさえ煩《むず》かしいんですもの。何だか、あの、小母さんたちは、ちょいとは、あの、逢って下さらなか
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