な》へ、小芳が、密《そっ》と手を入れて、上へ抱起すようにして、
「切なくはないかい、お蔦さん、起きられるかい、お前さん、無理をしては不可《いけな》いよ。」
「ああ、難有《ありがと》う、」
 とようよう起直って、顱巻《はちまき》を取ると、あわれなほど振りかかる後れ毛を掻上げながら、
「何だか、骨が抜けたようで可笑《おかし》いわ、気障《きざ》だねえ、ぐったりして。」
 と蓮葉《はすは》に云って、口惜《くや》しそうに力のない膝を緊《し》め合わせる。
 お妙はもう六畳の縁へ立って来て、障子に掴まって覗《のぞ》いていたが、
「寝ていらっしゃいよ、よう、そうしておいでなさいよ。私がそこへ行ってよ。」
 とそれまで遠慮したらしかったが、さあとなると、飜然《ひらり》と縁を切って走込むばかりの勢《いきおい》――小芳の方が一目先へ御見の済んだ馴染《なじみ》だけ、この方が便りになったか、薄くお太鼓に結んだ黒繻子のその帯へ、擦着《すりつ》くように坐って、袖のわきから顔だけ出して、はじめて逢ったお蔦の顔を、瞬もしないで凝《じっ》と視《なが》める。
 肩を落して、お蔦が蒲団の外へ出ようとするのを、
「よう、そうし
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