ず》、作取《つくりど》りのただ儲け、商売《あきない》で儲けるだけは、飲むも可《よ》し、打《ぶ》つも可し、買うも可しだが、何がさてそれで済もうか。儲けを飲んで、資本《もとで》で買って、それから女房の衣服《きもの》で打つ。
それお株がはじまった、と見ると、女房はがちがちがちと在りたけの身上《しんしょう》へ錠をおろして、鍵を昼夜帯へ突込んで、当分商売はさせません、と仕事に出る、
トかますの煙草入に湯銭も無い。おなまめだんぶつ、座敷牢だ、と火鉢の前に縮《すく》まって、下げ煙管《ぎせる》の投首が、ある時悪心増長して、鉄瓶を引外《ひっぱ》ずし、沸立《にた》った湯を流《ながし》へあけて、溝の湯気の消えぬ間に、笊蕎麦《ざるそば》で一杯《いち》を極《き》めた。
その時女房に勘当されたが、やっとよりが戻って以来、金目な物は重箱まで残らず出入先へ預けたから、家には似ない調度の疎末《そまつ》さ。どこを見てもがらんとして、間狭《ませま》な内には結句さっぱりして可《よ》さそうなが、お妙は目を外らす壁張りの絵も無いので、しきりに袂《たもと》を爪繰って、
「可いのよ、小母さん、髪結さんの許《とこ》だから、極りが
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