玉《ぎょく》の丸火屋《まるぼや》の残燈《ありあけ》を包んで載せて、中の棚に、香包を斜めに、古銅の香合が置いてあって、下の台へ鼻紙を。重しの代りに、女持の金時計が、底澄んで、キラキラ星のように輝いていた。
 じろりと視《なが》めて、莞爾《にっこり》して、蒲団に乗ると、腰が沈む。天鵝絨《びろうど》の括枕《くくりまくら》を横へ取って、足を伸《のば》して裙《すそ》にかさねた、黄縞《きじま》の郡内に、桃色の絹の肩当てした掻巻《かいまき》を引き寄せる、手が辷《すべ》って、ひやりと軽《かろ》くかかった裏の羽二重が燃ゆるよう。
 トタンに次の書斎で、するすると帯を解く音がしたので、まだ横にならなかった主税は、掻巻の襟に両肱を支いた。
 乳母が何か云ったようだったが、それは聞えないで、派手な夫人の声して、
「ああ、このまま寝ようよ。どうせ台なしなんだから。」
 と云ったと思うと、隔ての襖《ふすま》の左右より、中ほどがスーと開《あ》いたが、こなたの十畳の京間は広し、向うの灯《あかり》も暗いから、裳《もすそ》はかくれて、乳《ち》の下の扱帯《しごき》が見えた。
「お休みなさい。」
「失礼。」
 と云う。襖を閉
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