乗って、大きな書棚の上には、世帯道具が置いてある。
湯は、だだっ広い、薄暗い台所の板敷を抜けて、土間へ出て、庇間《ひあわい》を一跨《ひとまた》ぎ、据《すえ》風呂をこの空地《くうち》から焚くので、雨の降る日は難儀そうな。
そこに踞《しゃが》んでいた、例のつんつるてん鞠子の婢《おさん》が、湯加減を聞いたが上塩梅《じょうあんばい》。
どっぷり沈んで、遠くで雨戸を繰る響、台所《だいどこ》をぱたぱた二三度行交いする音を聞きながら、やがて洗い果ててまた浴びたが、湯の設計《こしらえ》は、この邸に似ず古びていた。
小灯《こともし》の朦々《もうもう》と包まれた湯気の中から、突然《いきなり》褌《ふんどし》のなりで、下駄がけで出ると、颯《さっ》と風の通る庇間に月が見えた。廂《ひさし》はずれに覗《のぞ》いただけで、影さす程にはあらねども、と見れば尊き光かな、裸身《はだみ》に颯と白銀《しろがね》を鎧《よろ》ったように二の腕あたり蒼《あお》ずんだ。
思わず打仰いで、
「ああ、お妙《たえ》さん。」
俯向《うつむ》いた肩がふるえて、
「お蔦!」
蹌踉《よろめ》いたように母屋の羽目に凭《もた》れた時、
「
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