行ったのである。
そこへ、しばらくして、郵便――だった。
すらすらと読果てた。手紙を巻戻しながら顔を振上げると、乱れたままの後れ毛を、煩《うる》さそうに掻上げて、
「ついぞ思出しもしなかった、乳なんか飲まれて、さんざ膏《あぶら》を絞られたわ。」
と急いで衣紋を繕って、
「さあ、お酌をしましょう。」
瓶を上げると、重い。
「まあ、ちっとも召喫《めしあが》らないのね。お酌がなくっては不可《いけな》いの、ちょいと贅沢《ぜいたく》だわ。ほほほほ、家《うち》も極《き》まったし、一人で世帯を持った時どうするのよ。」
「沢山頂きました、こんなに御厄介になっては、実に済みません……もう、徐々《そろそろ》失礼しましょう。」
と恐しく真面目に云う。
「いいえ、返さない。この間から、お泊んなさいお泊んなさいと云っても、貴下が悪いと云うし、私も遠慮したけれど、可《い》いわ、もう泊っても。今ね、御覧なさい、牛込に居る母様《かあさま》から手紙が来て、早瀬さんが静岡へお出《いで》なすって、幸いお知己《ちかづき》になったのなら、精一杯御馳走なさい、と云って来たの。嬉しいわ、私。
あのね、実はこれは返事なん
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