なあ、主《ぬし》、気の持ちように依るぞいの。」
 と婆さんは渠《かれ》を慰めるような、自分も勢《せい》の無いような事を云う。
 病人は、苦を訴うるほどの元気も持たぬ風で、目で頷き、肩で息をし、息をして、
「この頃は病気《やまい》と張合う勇《いさみ》もないで、どうなとしてくれ、もう投身《なげみ》じゃ。人に由っては大蒜《にんにく》が可《え》え、と云うだがな。大蒜は肺の薬になるげじゃけれども、私《わし》はこう見えても癆咳《ろうがい》とは思わん、風邪のこじれじゃに因って、熱さえ除《と》れれば、とやっぱり芭蕉じゃ。」
 愚痴のあわれや、繰返して、杖に縋《すが》った手を置替え、
「煎じて飲むはまだるこいで、早や、根からかぶりつきたいように思うがい。」
 と切なそうに顔を獅噛《しか》める。
「焦らっしゃる事よ、苛《じ》れてはようない、ようないぞの。まあ、休んでござらんか、よ。主あどんなにか大儀じゃろうのう。」
「ちっと休まいて貰いたいがの、」
 菅子と早瀬の居るのを見て、遠慮らしく、もじもじして、
「腰を下ろすとよう立てぬで、久しぶりで出たついでじゃ、やっとそこらを見て、帰りに寄るわい。見霽《みはら
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