い婆さんが居ますね、お茶を飲んで行きましょうよ。」
と謹んで色には出ぬが、午飯《ひる》に一銚子《ひとちょうし》賜ったそうで、早瀬は怪しからず可い機嫌。
「咽喉《のど》が渇いて?」
「ひりつくようです。」
「では……」
茶店の婆さんというのが、式《かた》のごとく古ぼけて、ごほん、と咳《せ》くのが聞えるから、夫人は余り気が進まぬらしかったが、二三人|子守女《もりっこ》に、きょろきょろ見られながら、ずッと入る。
「お掛けなさいまし。お日和でございます。よう御参詣なさりました。」
夫人が彳《たたず》んでいて掛けないのを見て、早瀬は懐中《ふところ》から切立の手拭《てぬぐい》を出して、はたはたと毛布《けっと》を払って、
「さあ、どうぞ、」
笑って云うと、夫人は婆さんを背後《うしろ》にして、悠々と腰を下ろして、
「江戸児《えどっこ》は心得たものね。」
「人を馬鹿にしていらっしゃる。」
と、さしむかいの夫人の衣紋はずれに、店先を覗いて、
「やあ、甘酒がある……」
十一
「お止しなさいよ。先刻《さっき》もあんなものを食《あが》ってさ、お腹を悪くしますから。」
と低声《こごえ
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