ら、あどけなく見入って傾く。
 その、不思議そうに瞳をくるくると遣《や》った様子は、よっぽど可愛くって、隅の窓を三角に取って彳《たたず》んだボオイさえ、莞爾《にっこり》した程であるから、当の外国人は髯《ひげ》をもじゃもじゃと破顔して、ちょうど食後の林檎《りんご》を剥《む》きかけていた処、小刀を目八分に取って、皮をひょいと雷干《かみなりぼし》に、菓物《くだもの》を差上げて何か口早に云うと、青年が振返って、身を捻《ね》じざまに、直ぐ近かった、小児の乗っかった椅子へ手をかけて、
「坊ちゃん、いらっしゃい。好《い》いものを上げますとさ。」とその言《ことば》を通じたが、無理な乗出しようをして逆に向いたから、つかまった腕に力が入ったので、椅子が斜めに、貴婦人の方へ横になると、それを嬉しそうに、臆面《おくめん》なく、
「アハアハ、」と小児が笑う。
 青年は、好事《ものずき》にも、わざと自分の腰をずらして、今度は危気《あぶなげ》なしに両手をかけて、揺籠《ゆりかご》のようにぐらぐらと遣ると、
「アハハ、」といよいよ嬉しがる。
 御機嫌を見計らって、
「さあ、お来《いで》なさい、お来なさい。」
 貴婦人の
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