ちらちらと分れて映るばかり、十四五人には過ぎないのであった。
 め[#「め」に傍点]組が、中ほどから、急にあたふたと駈出して、二等室を一ツ覗《のぞ》き越しにも一つ出て、ひょいと、飛込むと、早や主税が近寄る時は、荷物を入れて外へ出た。
「ここが可いや、先生。」
「何だ、青切符か。」
「知れた事だね、」
「大束《おおたば》を言うな、駈落の身分じゃないか。幾干《いくら》だっけ。」
 と横へ反身《そりみ》に衣兜《かくし》を探ると、め[#「め」に傍点]組はどんぶりを、ざッくと叩き、
「心得てら。」
「お前に達引かして堪るものか。」
「ううむ、」と真面目で、頭《かぶり》を掉《ふ》って、
「不残《のこらず》叩き売った道具のお銭《あし》が、ずッしりあるんだ。お前《め》さんが、蔦ちゃんに遣れって云うのを、まだ預っているんだから、遠慮はねえ、はははは、」
「それじゃ遠慮しますまいよ。」
 と乗込んだ時、他に二人。よくも見ないで、窓へ立って、主税は乗出すようにして妙なことを云った。それは――め[#「め」に傍点]組の口から漏らした、河野の母親が以前、通じたと云う――馬丁《べっとう》貞造の事に就いてであった。

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