り》をしていたろうじゃありませんか。蚤取眼《のみとりまなこ》で小切《こぎれ》を探して、さっさと出てでも行く事か。御奉公のおなごりに、皆さんお酌、と来たから、難有《ありがて》え、大日如来、己《おら》が車に乗せてやる、いや、私《わっち》が、と戦だね。
 戦と云やあ、音羽の八百屋は講釈の真似を遣った、親方が浪花節だ。
 ああ、これがお世帯をお持ちなさいますお祝いだったら、とお源坊が涙ぐんだしおらしさに。お前《め》さん、有象無象《うぞうむぞう》が声を納めて、しんみりとしたろうじゃねえか。戦だね。泣くやら、はははははは、笑うやら、はははは。」

       六十一

「そこでお前《め》さん、何だって、世帯をお仕舞《しめ》えなさるんだか、金銭ずくなら、こちとらが無尽をしたって、此家《ここ》の御夫婦に夜遁《よに》げなんぞさせるんじゃねえ、と一番《いっち》しみったれた服装《なり》をして、銭の無さそうな豆腐屋が言わあ。よくしたもんだね。
 銭金ずくなら、め[#「め」に傍点]組がついてる、と鉄砲巻の皿を真中《まんなか》へ突出した、と思いねえ。義理にゃ叶わねえ、御新造《ごしんぞ》の方は、先生が子飼から世話
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