って宜しい。早瀬がこの縁談を結構だ、と申せば、直ぐに妙を差上げますよ。面倒は入《い》らん。先生が立処《たちどころ》に手を曳《ひ》いて、河野へ連れてお出でなすって構いません。早瀬が不可《いけな》い、と云えば、断然お断りをするまでです。」
黙ってはいられない。
「しますると、その、」
と少し顔の色も変えて、
「御門生は、妙子様に……」と、あとは他人でもいささか言いかねて憚《はばか》ったのを、……酒井は平然として、
「惚れていますともさ。同一《ひとつ》家に我儘《わがまま》を言合って一所に育って、それで惚れなければどうかしているんです。もっともその惚方――愛――はですな、兄妹《きょうだい》のようか、従兄妹《いとこ》のようか、それとも師弟のようか、主従《しゅうじゅう》のようか、小説のようか、伝奇のようか、そこは分りませんが、惚れているにゃ違いないのですから、私は、親、伯父、叔母、諸親類、友達、失礼だが、御媒酌人《おなこうど》、そんなものの口に聞いたり、意見に従ったりするよりは、一も二もない、早手廻しに、娘の縁談は、惚れてる男に任せるんです。いかがでしょう、先生、至極妙策じゃありませんか。それ
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