! 俺《おい》ら弟子はいくらでもある、が小児《こども》の内から手許に置いて、飴《あめ》ン棒までねぶらせて、妙と同一《ひとつ》内で育てたのは、汝《きさま》ばかりだ。その子分が、道学者に冷かされるような事を、なぜするよ。
(世間に在るやつでごわります。飼犬に手を噛《か》まれると申して。以来あの御門生には、令嬢お気を着けなさらんと相成りませんで。)坂田が云ったを知ってるか。
馬鹿野郎、これ、」
と迫った調子に、慈愛が籠って、
「さほどの鈍的《とんちき》でもなかったが、天罰よ。先生の目を眩《くら》まして、売婦《ばいた》なんぞ引摺込む罰が当って、魔が魅《さ》したんだ。
嫁入前の大事な娘だ、そんな狐の憑いた口で、向後《こうご》妙の名も言うな。
生意気に道学者に難癖なんぞ着けやあがって、汝《てめえ》の面当《つらあて》にも、娘は河野英吉にたたッ呉れるからそう思え。」
「貴郎《あなた》、」
と小芳が顔を上げて、
「早瀬さんに、どんな仕損いが、お有んなすったか存じませんが、決して、お内や、お嬢さんの……(と声が曇って、)お為悪かれ、と思ってなすったんじゃござんすまいから、」
「何だ。為悪かれ、と
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