るものか。検《しら》べるのは当前《あたりまえ》だ。芸者を媽々《かかあ》にするんじゃない。
また己《おれ》の方じゃ、探捜を入れて貰いたいのよ。さあ、どこでも非難をして見ろ、と裸体《はだか》で見せて差支えの無いように、己と、謹とで育てたんだ。
何が可恐《おそろし》い? 何が不平だ? 何が苦しい? 己は、渠等《かれら》の検べるのより、お前がそこらをまごつく方がどのくらい迷惑か知れんのだ。
よしんば、奴等に、身元検べをされるのが迷惑とする、癪《しゃく》に障るとなりゃ、己がちゃんと心得てる。この指一本、妙の身体《からだ》を秘《かく》した日にゃ、按摩《あんま》の勢揃ほど道学者輩が杖《つえ》を突張って押寄せて、垣覗《かきのぞ》きを遣ったって、黒子《ほくろ》一点《ひとつ》も見せやしない、誰だと思う、おい、己だ。」
とまた屹《きっ》と見て、
「なぜ、泰然と落着払って、いや、それはお芽出度い、と云って、頼まれた時、紹介をせん。癪に障る、野暮だ、と云う道学者に、ぐッと首根ッ子を圧《おさ》えられて、(早瀬氏はこれがために、ちと手負|猪《じし》でごわりましてな。)なんて、歯をすすらせるんだ。
馬鹿野郎
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