両と十両は飛ぶんでげしょう。そこでもって、へへへ、相性は聞きたし年紀《とし》は秘《かく》したしなんて寸法だ。ええ、旦那、三世相は御祝儀にお求め下さいな。」
 いよいよむっとして、
「要らない。」と、また立とうとする。
「じゃもう五銭、五百、たった五銭。」
 片手を開いて、肱《ひじ》で肩癖《けんぺき》の手つきになり、ばらばらと主税の目前《めさき》へ揉《も》み立てる。
 憤然として衝《つッ》と立った。主税の肩越しにきらりと飛んで、かんてらの燻《くすぶ》った明《あかり》を切って玉のごとく、古本の上に異彩を放った銀貨があった。
 同時に、
「要るものなら買って置け。」
 と※[#「金+肅」、第3水準1−93−39]《さび》のある、凜《りん》とした声がかかった。
 主税は思わず身を窘《すく》めた。帽子を払って、は、と手を下げて、
「先生。」
 露店の亭主は這出して、慌てて古道具の中へ手を支《つ》いて、片手で銀貨を圧《おさ》えながら、きょとんと見上げる。
 茶の中折帽《なかおれ》を無造作に、黒地に茶の千筋、平お召の一枚小袖。黒斜子《くろななこ》に丁子巴《ちょうじどもえ》の三つ紋の羽織、紺の無地献上
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