目が覚めた。――ついてはだ。」
二十七
「――賛成だ、至極いいよ。私たち風来とは違って、矢野には学士の肩書がある。――御縁談は、と来ると、悪く老成《おやじ》じみるが仕方がない……として、わけなく絡《まとま》るだろうと思うがね、実はこのお取次は、私じゃ不可《まず》いよ。」
「そう、そう、そう来るだろうと思ったんだ。が、こうなれば刺違えても今更糸|的《こう》に譲って、指を銜《くわ》えて、引込《ひっこ》みはしない。」
と、わざとらしいまで、膝の上で拳《こぶし》を握ると、糸七は気《け》もない顔で、
「何を刺違えるんだ、間違えているんだろう。」
「だってそうじゃないか、いつか雑誌に写真が出ていたそうだが、そんなものはほとんど眼中になかった。今朝の雪は不意打さ。俥で帰ると、追分で一生の道が南北へ分れるのを、ほんとうに一呼吸という処で、不思議な縁で……どうも言う事が甘ったるいが、どうもどうも、腹の底まで汁粉に化けた。
――氷月の雪の枝折戸《しおりど》を、片手ざしの渋蛇目傘《しぶじゃのめ》で、衝《つ》いて入るように褄《つま》を上げた雨衣《あまぐ》の裾の板じめだか、鹿子絞りだか、あ
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