の緋色がよ、またただ美しさじゃない、清さ、と云ったら。……ここをいうのだ、茶屋の女房の浅黄縮緬のちらちらなぞは、突っくるみものの寄切《よせぎれ》だよ、……目も覚め、心《むね》に沁《し》みようじゃないか。
 ……同時に、時々の出入りとまでしばしばでなくても、同門の友輩《ともだち》で知合ってる糸|的《こう》が、少くとも、岡惚れを。」
「その事かい、何だ。」
 と笑いもカラカラと五徳に響いて、煙管を払《はた》いた。
「対手《あいて》は素人だ、憚《はばか》りながら。」
「昨夜《ゆうべ》振られてもかい。」
「勿論。」
「直言を感謝す。」
 と俯向《うつむ》いて、袖口をのばすように膝に手を長く置き、
「人|壮《さか》んなる時は、娘に勝ち、人衰うる時は女房が欲しい。……その意気だ。が、そうすると、話に乗ってくれるのに、また何が不都合だろう。」
「月村と性《しょう》が合わないんだ。先方《さき》は言うまでもなかろうが、私も虫が好かないんだ。前《ぜん》にね、月村が随筆を書いた事がある。燈籠見に誘われて、はじめて廓《くるわ》を覗《のぞ》いたというんだがね、雑誌の編輯でも、女というと優待するよ。――年方《とし
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