きなり窓の外を、棟を飛んで、避雷針の上へ出そうに見える。
カーネーション、フリージヤの陰へ、ひしゃげた煙管《きせる》を出して点《つ》けようとしていたが、火燧《マッチ》をパッとさし寄せられると、かかる騎士に対して、脂下《やにさが》る次第には行《ゆ》かない。雁首《がんくび》を俯向《うつむ》けにして、内端《うちわ》に吸いつけて、
「有難う。」
と、まず落着こうとして、ふと、さあ落着かれぬ。
「はてな、や、忘れた。」
「え。」
「下足札。」
吃驚《びつくり》したように顔を見たが、
「そこに穿《は》いていらっしゃるじゃないの。」
実は外套を預けた時、札を貰わなかったのを、うっかりと下足札。ああ、面目次第もない。
騎士《ナイト》が悟って、おかしがって、笑う事笑う事、上身をほとんど旋廻して、鎧《よろい》の腹筋《はらすじ》を捩《よ》る処へ、以前のが、銚子を持参。で、入れかわるように駆出した。
「お帽子も杖《ステッキ》も、私が預ったじゃありませんか。安心してめしあがれ。あの方、今日は会計係、がちゃがちゃん、ごとンなの。……お酌をしますわ。」
やがて少々、とろりとなって、「さてそこへ立っていち
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