入れると直ぐに実《み》になる。」
「仲之町の芸者の噂のあとへ、それだけは、その、焼芋、焼芋だけはあやまるよ。」
と、弦光が頭《つむり》を下げた。
同感である。――糸七のおなじ話でも、紅玉《ルビー》、緑宝玉《エメラルド》だと取次|栄《ばえ》がするが、何分焼芋はあやまる。安っぽいばかりか、稚気が過ぎよう。近頃は作者|夥間《なかま》も、ひとりぎめに偉くなって、割前の宴会《のみかい》の座敷でなく、我が家の大広間で、脇息《きょうそく》と名づくる殿様道具の几《おしまずき》に倚《よ》って、近う……などと、若い人たちを頤《あご》で麾《さしまね》く剽軽者《ひょうきんもの》さえあると聞く。仄《ほのか》に聞くにつけても、それらの面々の面目に係ると悪い。むかし、八里半、僭称《せんしょう》して十三里、一名、書生の羊羹、ともいった、ポテト……どうも脇息向の饌《せん》でない。
ついこの間の事――一《ある》大書店の支配人が見えた。関東名代の、強弓《つよゆみ》の達者で、しかも苦労人だと聞いたが違いない。……話の中に、田舎から十四で上京した時は、鍛冶町辺の金物屋へ小僧で子守に使われた。泥濘《ぬかるみ》で、小銅五厘
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