。糸七さん一人だって、あなたは仲が悪いんでしょう。おなじ雑誌に、その随筆の、あの人、悪口を記《か》いたじゃありませんか。」
「よくご存じですこと。」
簪《かんざし》を挿込むと、きりりと一文字にひそめた眉を、隠すように、傘を取って、熟《じっ》と、糸七とその連を視《み》た。
二十一
「しかし、しかしだね、(雪見と志した処が、まだしも)……何とかいったっけ、そうだ(……まだしも、ふ憫《びん》だ。)」
「あわれ、憫然というやつかい。」
「やっぱり、まだしも、ふ憫だ。――(いや、ますます降るわえ、奇絶々々。)と寒さにふるえながら牛骨が虚飾《みえ》をいうと(妙。)――と歯を喰切《くいしば》って、骨董《こっとう》が負惜しみに受ける処だ。
またあたかも三馬の向島の雪景色とおなじように、巻込まれた処へ、(骨董子、向うから来るのは確《たしか》に婦人だぜ。)と牛骨がいうと、(さん候この雪中を独歩するもの、俳気のある婦人か、さては越《こし》の国にありちゅう雪女なるべし、)傭《やとい》お針か、産婆だろう、とある処へ。……聞いたら怒るだろう、……バッタリ女教師の渚女史にぶつかったなぞは――(
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