、抱いてあげたいと思いましたよ。」
「抱かれたい、おほほ。」
 と口紅が小さく白く、雪に染まった。
「え?」
 ただの世辞ではなかったが、おもいがけないお京の返事が胸を衝《つ》いたから、ちょっと呆れて、ちょっと退《しさ》って、
「まあ、月村さん」
「おほほ、三浜さん」
「お元気、お元気……」

       十九

 渚も元気を増したらしい。
「ですが、顔の色がお悪いわ、少し蒼ざめて。……何しろ、ここへ入って休みましょう――ええ、私のお詣りはそれから、お精進だから構いません、お汁粉ですもの。家がまた氷月ですね。気のきかない、こんな時は、ストーブ軒か、炬燵亭《こたつてい》とでもすれば可《よ》ござんすのに。」
 その木戸口に、柳が一本《ひともと》、二人を蔽《おお》う被衣《かつぎ》のように。
「閉っていたって。」
 と、少し脊伸びの及腰《およびごし》に、
「この枝折戸《しおりど》の掛金は外ずしてありましょう。表へだと、大廻りですものね。さあ、いらっしゃい。まこと開かなけりゃ四目垣ぐらい、破るか、乗越《のっこ》すかしちまいますわ。抱かれてやろうといって下すった、あなたのためなら。……飛んだ門破
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