識してか、知らず、しかくあらしめたものである。
 青麟に嫁《ゆ》く一言《ひとこと》や、直ちに霹靂《へきれき》であった。あたかもこの時の糸七に、屋の内八方、耳も目も、さながら大雷大風であった。

       四十一

 と、突立《つッた》ったまま、苦《にが》い顔、渋い顔、切ない顔、甘い顔、酔って呆《ぼ》けた青い顔をしていた。が、頬へたらたらと垂れかかった酒の雫《しずく》を、横舐《よこな》めに、舌打して、
「鳴るは滝の水、と来るか、来たと……何だ、日は照るとも絶えずとうたりか、絶えずとうたりと、絶えずとうたり、とくとく立てや手束弓《たつかゆみ》の。」
 真似を動いて、くるくる舞ったが、打傾いて耳を聳《そばだ》て、
「や、囃子《はやし》が聞える。ええ、横笛が。笛は止せ、笛は止せ、止せ、止さないか、畜生。」
 と、いうとともに、胆略も武勇もない、判官《ほうがん》ならぬ足弱の下強力《したごうりき》の、ただその金剛杖《こんごうづえ》の一棒をくらったごとく、ぐたりとなって、畳にのめった。
 がんがんがんと、胸は早鐘、幽《かすか》にチチと耳が鳴る。
 仏間にては、祖母が、さっきの言《こと》を真《ま》
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