蝦蟇《がま》と、相戦う衝《しょう》に当る、地境の悪所にあって、お滝の夜叉さえ辟易《へきえき》する。……小雀《こがら》頬白《ほおじろ》も手にとまる、仏づくった、祖母でなくては拾われぬ。
「それからの、青紫蘇《あおじそ》を粉にしたのじゃがの、毒にはならぬで、まいれ。」
と湯気の立つ茶椀。――南無三宝、茶が切れた。
「ほんにの、これが春で、餅草があると、私が手に、すぐに団子なと拵えて進じょうもの。孫が、ほっておきで、南瓜の葉ばかり何にもないがの。」
と寂しい笑いの、口には歯がない。
お京がいとしげに打傾き、
「お祖母様、いまに可愛い嫁菜が咲きます。」
「嫁菜がの、嬉しやの、あなたのような、のう。」
糸七は仰天した、人参のごとく真《しん》まで染《そま》って、
「お祖母さん、お祖母さん、お祖母さん、そんな事より、仏間へ行って、この、きれいな、珍らしいお客様の見えた事を、父、母に話して下さい。」
「おいの、そうじゃの。」
何と思ったか、お京が急いで、さも、遠慮のないように椎の実を取った。
「お祖母様。」
「……おお、食べてくださるかの。」
「おいしい……」
と、長いまつ毛をふるわせて、
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