。」……「蝋燭代を別に出せ。」で、奈落に落ちて一夜あける、と勘定は一度済ましたんですが、茶を一杯にも附足しの再勘定、その勘定書を、その勘定を催促しても、わざと待たして持って来ません。これが、ぼると言います。阿漕《あこぎ》な術《やつ》です。はめられたんです。といううちに、朝直し……遊蕩《あそび》が二度|振《ぶり》になって、また、前勘定、このつけを出されると、金が足りない、足りないどころですか、まるで始末が出来ないのです。
――「あさましきもの」が引受けてくれました、暑いのに、破屏風《やぶれびょうぶ》にすくんで、かびた蒲団に縮まったありさまは、人間に、そのまま草が生えそうです。無面目《むめんぼく》で廊下へ顔も出せません。お螻《けら》の兄さん、ちと、ご運動とか云って、「あさましきもの」に廊下へ連出されると、トトトン、トトトンと太鼓の音。それを、欄干《てすり》から覗《のぞ》きますとね、漬物|桶《おけ》、炭俵と並んで、小さな堂があって、子供が四五人――午《うま》の日でした。お稲荷講、万年講、お稲荷さんのお初穂《はつ》。「お初穂よ、」といって、女がお捻《ひねり》を下へ投げると、揃って上を向いた。
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