、すぱすぱ。」
と妙に砕けて、変に勢《きお》って、しょげて、笑って、すぱすぱ。
三十八
「……また何も、ここへ友達を引張《ひっぱ》り出して、それに託《かず》けるのは卑怯《ひきょう》ですが、二月ばかり前でした。あなたなぞの前では、お話もいかがわしい悪場所の、それも獣の巣のような処へ引掛《ひっかか》ったんです。泥々に酔って二階へ押上って、つい蹌踉《よろ》けなりに梯子段《はしごだん》の欄干へつかまると、ぐらぐらします。屋台根こそぎ波を打って、下土間へ真逆《まっさか》に落ちようとしました……と云った楼《うち》で。……障子の小間《こま》は残らず穴ばかり。――その一つ一つから化ものが覗いて、蛞蝓《なめくじ》の舌を出しそうな様子ですが、ふるえるほど寒くはありませんから、まず可《い》いとして、その隅っ子の柱に凭掛《よりかか》って、遣手《やりて》という三途河《さんずがわ》の婆さんが、蒼黒《あおぐろ》い、痩《や》せた脚を突出してましてね。」
……褌《ふんどし》というのを……控えたらしい。
「舐《な》めちゃ取り、舐めちゃ取り、蚤《のみ》だか、虱《しらみ》だか捻《ひね》っています。――あ
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