お言葉も受けないで、勝手に上って来たんですもの。」
「そんな、そんな事、何、こんな内、上るにも、踏むにも、ごらんの通り、西瓜《すいか》の番小屋でもありゃしません、南瓜畑の物置です。」
「いいえ、いいえ、私だって、幾度も、お玄関で。」
「あやまります、恐入ります。お玄関は弱り果てます。」
「おうかがいはしたんですけれど、しんとして、誰方《どなた》のお声も聞えません。」
「すぐ開き扉《ど》一つの内に、祖母《としより》が居ますが、耳が遠い。」
「あれ、お祖母様《ばあさま》にも失礼な、どうしたら可《い》いでしょう。……それに、御近所の方、おかみさんたちが多勢、井戸端にも、格子外にも、勝手口にも、そうしてあの、花嫁、花嫁。……」
「今も居ます。現に居ます、ごめんなさい。談じます。談判します、打《ぶん》なぐります、花嫁だなんて失礼な。」
「あれ、あなた、そんな気ではありません。極《きま》りが悪くて、極りが悪くて、外へ出られないもんですから、お内へ入ってかくれました。それだし、ただ、人の口の端《は》の串戯《じょうだん》だけでも、嫁だなぞと、あなたのお耳へ入ったらどうしようと、私……私を見て、庭へ出て
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