葛籠《ふるつづら》を、仏壇のない押入の上段《うわだん》に据えて、上へ、お仏像と先祖代々の位牌《いはい》を飾って、今朝も手向けた一|銭《もん》蝋燭《ろうそく》も、三分一が処で、倹約で消《しめ》した、糸心のあと、ちょんぼりと黒いのを背《せな》に、日だけはよく当る、そこで、破足袋《やぶれたび》の継ぎものをしてござった。
さて、その、ひょいと持って軽く置くと、古葛籠の上へも据りそうな、小さな白髪の祖母《おばあ》さんの起居《たちい》の様子もなしに、悉《くわ》しく言えば誰が取次いだという形もなしに、土間から格子戸まで見通しの框《かまち》の板敷、取附《とっつ》きの縦四畳、框を仕切った二枚の障子が、すっと開いて、開いた、と思うと、すぐと閉った。穴だらけの障子紙へ、穴から抜けたように、すらりと立った、霧のような女の姿。
姿を。……
ここから、南瓜の葉がくれに熟《じっ》と覗《のぞ》くと、霧が濃くなり露のしたたる、水々とした濡色の島田|髷《まげ》に、平打《ひらうち》がキラリとした。中洲のお京さん、一雪である。
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糸七は、蟇《ひき》と踞み、
南瓜の葉がくれ、
尾花を透かして、
蜻蛉
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