ずるずると、窓下へ、どしんと響く。
 弦光は坐り直して、
「出直しだ、出直しだ。この上はただ、偏《ひとえ》に上杉さんに頼むんだ。……と云って俺《おれ》も若いものよ。あの娘《こ》を拝むとも言いたくないから、似合いだとか、頃合いだとか、そこは何とか、糸的《きみ》の心づもりで、糸的《きみ》の心からこの縁談を思いついたようによ、な、上杉さんに。」
「分ったよ。」
「直ぐにも頼む、もう、あの娘は俺の命だから、あの娘なしには半日も――午砲《どん》! までも生きられない。ううむ。」
 うむと唸《うな》って、徳利を枕にごろんとなると、辷《すべ》った徳利が勃然《むっく》と起き、弦光の頸窪《ぼんのくぼ》はころんと辷って、畳の縁《へり》で頭を抱える。
「討死したな。……何も功徳だ、すぐにも先生の許《とこ》へ駆附けよう。――湯に行きたいな。」
「勿論よ。清めてくれ。――婆や、湯に行く支度だ。婆や婆や。」
「ふええ。」
「あれだ、聞いたか――池の端茅町の声でないよ、麻布|狸穴《まみあな》の音《おん》だ。ああ、返事と一所に、鶯を聞きたいなあ。」
 やがて、水の流《ながれ》を前にして、眩《まばゆ》い日南《ひなた》の
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