声を逸《はや》って、言うとともに、火鉢越に二人が思わず握手した。
(……ふと思うと、前段に述べた、作者が、真珠《やきいも》三枚《みッつ》で、書店の支配人と、ばらりの調子で声と指を合わせたと、趣を斉《ひと》しゅうする。)
「絵だけ描いていれぱ、当人も世間も助かるものを、紫の太緒《ふとひも》を胸高々と、紋緞子《もんどんす》の袴《はかま》を引摺《ひきず》って、他《ひと》が油断をしようものなら、白襟を重ねて出やがる。歯茎が真黒《まっくろ》だというが。」
この弦光の言、――聞くべし、特説|也《なり》。
「乱杭、歯くそ隠《かくし》の鉄漿《かね》をつけて、どうだい、その状《ざま》で、全国の女子の服装を改良しようの、音楽を古代に回《かえ》すの、美術をどうのと、鼻の尖《さき》で議論をして、舌で世間を嘗《な》めやがる。爪垢《つまあか》で楽譜を汚して、万葉、古今を、あの臭い息で笛で吹くんだ。生命《いのち》知らずが、誰にも解りこないから、歌を一つ一つ、異変、畜類な声を張り、高らかに唱《うた》って、続くは横笛、ひゃらひゅで、緞子袴の膝を敲《たた》くと、一座を※[#「目+句」、第4水準2−81−91]《みまわ
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