》し、ほほほ、と笑って、おほん、と反るんだ。堪《たま》らないと言っちゃない。あいつ、麟を改めて鱗《うろこ》とすればいい、青大将め。――聞けばそいつが(次第前後す、段々解る)その三崎町のお伽堂とかで蟠《とぐろ》を巻いて黒い舌をべらべらとやるのかい。」
「横笛は、八本の調子を、もう一本上げたいほど高い処で張ってるのさ。貸本屋へしけ込むのは、道士|逸人《いつじん》、どれも膏切《あぶらぎ》った髑髏《しゃれこうべ》と、竹如意《ちくにょい》なんだよ――「ちとお慰みにごらん遊ばせ。」――などとお時の声色をそのまま、手や肩へ貸本ぐるみしなだれかかる。女房がまた、背筋や袖をしなり、くなり、自由に揉《も》まれながら、どうだい頬辺《ほっぺた》と膝へ、道士、逸人の面を附着《くッつ》けたままで、口絵の色っぽい処を見せる、ゆうぜんが溢出《はみで》るなぞは、地獄変相、極楽、いや天国変態の図だ。」
「図かい。」
「図だよ。」
「見料は高かろう。」
「高い、何、見料どころか、この図を視《み》ながら、ちょんぼり髯《ひげ》の亭主が、「えへへ、ご壮《さかん》な事《こつ》だい。」勢《いきおい》の趣くところ、とうとう袴を穿《は》
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