》の沈むのが、釵《かんざし》の鸚鵡《おうむ》の白く羽《はね》うつが如く、月光に微《かすか》に光つた。
「御坊様《ごぼうさま》、貴方《あなた》は?」
「あゝ、山国《やまぐに》の門附《かどづけ》芸人、誇れば、魔法つかひと言ひたいが、いかな、然《さ》までの事もない。昨日《きのう》から御目《おめ》に掛けた、あれは手品ぢや。」
坊主は、欄干に擬《まが》ふ苔蒸《こけむ》した井桁《いげた》に、破法衣《やれごろも》の腰を掛けて、活《い》けるが如く爛々《らんらん》として眼《まなこ》の輝く青銅の竜の蟠《わだかま》れる、角《つの》の枝に、肱《ひじ》を安らかに笑《え》みつゝ言つた。
「私に、何のお怨《うら》みで?……」
と息せくと、眇《めっかち》の、ふやけた目珠《めだま》ぐるみ、片頬《かたほお》を掌《たなそこ》でさし蔽《おお》うて、
「いや、辺境のものは気が狭い。貴方が余り目覚《めざま》しい人気ゆゑに、恥入るか、もの嫉《ねた》みをして、前芸《まえげい》を一寸《ちょっと》遣《や》つた。……さて時に承《うけたま》はるが太夫《たゆう》、貴女《あなた》は其だけの御身分、それだけの芸の力で、人が雨乞《あまごい》を
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