は細く成つて、右の手の四《よ》つの指環は明星に擬《なぞら》へた金剛石《ダイヤモンド》のをはじめ、紅玉《ルビイ》も、緑宝玉《エメラルド》も、スルリと抜けて、きらきらと、薄紅《うすくれない》に、浅緑《あさみどり》に皆水に落ちた。
 何《ど》うでもなれ、左を試みに振ると、青玉《せいぎょく》も黄玉《こうぎょく》も、真珠もともに、月の美しい影を輪にして沈む、……竜《たつ》の口《くち》は、水の輪に舞ふ処《ところ》である。
 こゝに残るは、名なれば其を誇《ほこり》として、指にも髪にも飾らなかつた、紫《むらさき》の玉|唯《ただ》一つ。――紫玉は、中高《なかだか》な顔に、深く月影に透かして差覗《さしのぞ》いて、千尋《ちひろ》の淵《ふち》の水底《みなそこ》に、いま落ちた玉の緑に似た、門と柱と、欄干《らんかん》と、あれ、森の梢《こずえ》の白鷺《しらさぎ》の影さへ宿る、櫓《やぐら》と、窓と、楼《たかどの》と、美しい住家《すみか》を視《み》た。
「ぬしにも成つて、此《この》、此の田舎《いなか》のものども。」
 縋《すが》る波に力あり、しかと引いて水を掴《つか》んで、池に倒《さかさま》に身を投じた。爪尖《つまさき
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