に、薄月さえ朧々《おぼろおぼろ》と底の暖いと思ったが、道頓堀で小休みして、やがて太左衛門橋を練込む頃から、真暗《まっくら》になったのである。
 鴉は次第に数を増した。のみならず、白気の怪《あやし》みもあるせいか、誰云うとなく、今夜十二人の市女の中に、姫の数が一人多い。すべて十三人あると言交わす。
 世話人|徒《てあい》が、妙に気にして、それとなく、一人々々数えてみると、なるほど一人姫が多い。誰も彼も多いと云う。
 念のために、他所見《よそみ》ながら顔を覗《のぞ》いて、名を銘々に心に留めると、決して姫が殖《ふ》えたのではない。定《おきて》の通り十二人。で、また見渡すと十三人。
 ……式の最初、住吉|詣《もうで》の東雲《しののめ》に、女紅場で支度はしたが、急にお珊が気が変って、社《やしろ》へ参らぬ、と言ったために一人|俄拵《にわかごしら》えに数を殖《ふ》やした。が、それは伊丹幸《いたこう》の政巳《まさみ》と云って、お珊が稚《わか》い時から可愛がった妹分。その女は、と探ってみると、現に丸官に呼ばれて、浪屋の表座敷に居ると云うから、その身代りが交ったというのでもないのに。……
 それさえ尋常《
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