ば、いや、はや、何とも悪食《あくじき》がないたいた様子、お望みの猿は血を吐いて斃《お》ち果てておりましたに毛頭相違ござりません。」
「うむ。」
 と苦切《にがりき》って頷《うなず》きながら、
「多一、あれを聞いたかい、その通りや。」と、ぐっと見下ろす。
 一座の末に、うら若い新夫婦は、平伏《ひれふ》していたのである。
 これより先、余り御無体、お待ちや、などと、慌《あわただ》しい婦《おんな》まじりの声の中に、丸官の形、猛然と躍上《おどりあが》って、廊下を鳴らして魔のごとく、二人の閏《ねや》へ押寄せた。
 襖をどんと突明けると、床の間の白玉椿、怪しき明星のごとき別天地に、こは思いも掛けず、二人の姿は、綾の帳《とばり》にも蔽《おお》われず、指貫《さしぬき》やなど、烏帽子の紐《ひも》も解かないで、屏風《びょうぶ》の外に、美津は多一の膝に俯《ふ》し、多一は美津の背《せな》に額を附けて、五人囃子の雛《ひな》二個《ふたつ》、袖を合せたようであった。
 揃って、胸先がキヤキヤと痛むと云う。
「酒|啖《くら》え、意気地なし!」
 で、有無を言わせず、表二階へ引出された。
 欄干の緋《ひ》の毛氈《もうせ
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